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2020/12/03 17:39

~ サフラジェットジュエリーとは~


イギリスでは1800年代後半~1900年代初頭に、女性に参政権を求める活動【Suffragette(サフラジェット)】が起きます。

サフラジェットジュエリーとは、活動家および活動支持者たち【Suffragist(サフラジスト)】に委託・着用された幅広いジュエリーのことを指します。

サフラジェットジュエリーは、1903年に設立された、女性社会政治同盟(WSPU)のシンボルカラー(緑、白、紫)を特徴としています。
WSPUが掲げていた「Give  Woman  Vote」=「女性に参政権を」の、頭文字を並べると
G➝ Green (緑)/ W➝White(白)/ V ➝Violet (紫)
となり、
 緑は「希望」、 白は「純粋」 、紫は「尊厳」を象徴している意味もあります。

「誰もが知っているように紫は王室の色です。それは、すべてのサフラジェットの静脈を流れる王族の血、自由と尊厳の本能を表しています。白は私生活と公の生活における純粋さを表しています。緑は希望の色であり、春のエンブレムです。」
~1908年 『女性のための投票新聞 」編集長である ペシック・ローレンスがWSPUの色の解釈として説明~
 
 
誰がこのビジュアルブランディングをデザインしたかについては、諸説あります。

 一例として、女性社会政治同盟リーダーのエメリン・パンクハーストの娘、シルビアは、この運動の主要な設計者の1人でした。
 彼女はマンチェスター芸術学校と王立芸術大学で訓練を受けたWSPUメンバーで、象徴的なホロウェイブローチを作成しました
(投獄された元囚人である女性社会政治同盟のメンバーたちに、1909年に贈られたブローチ)


 庶民院(刑務所)のシンボルである、鎖につながれた門の落とし格子に、 太い矢印(有罪判決の意味)が、緑・白・紫のエナメルで描かれています。(全てではありませんが、一部のブローチには投獄の日付が記されています。  )

2015年の映画「未来を花束にして」でメリルストリープがコピーを着用し話題になりました。

当時、サフラジェットジュエリーの種類は 自家製から大量生産のもの、手作りの高級品にまで及びました。

そのため「SuffragetteJewellery」という名前は、単に作品価値を高めるために付けられることもあり、その信憑性については議論がありましたが、多くの場合、ジュエリーの色、特徴、作品の年代などによって、暫定的に関連付けることができます。 

サフラジェットジュエリーは、【男性的で野蛮にみられている】活動家達への、世間の偏見を覆すための戦略だった、とも考えられています。

ジュエリーにすることで、繊細な女性らしさを強調するなど、当時のファッションセンスをうまく取り入れることに成功しました。

当時のファッション講師カリー・ブラックマン氏は
攻撃的な女性活動家たちのことを倦厭していたものが、 自ら選んだ半貴石やエナメルの小さなジュエリーを身に着けることで投票の闘いに共感できるようになり、会員数が劇的に増えた重要な戦略だった」
と述べています。

特定の色やデザインを使用して、政治的意義を推進した、イギリスで最初のキャンペーンだったと考えられています
  
   
また、サフラジェットとアーツアンドクラフツ運動の芸術家の間には密接な関係がありました。  

サフラジェットジュエリーは非常にファッショナブルになり、人気を博しました。

1897年以来宝飾品の王室御用達である Mappin&Webb は、1908年のクリスマスにサフラジェットジュエリーのカタログを発行した歴史があります。
 

  【サフラジェット】
 イギリスで1903年に女性の選挙権を求めて作られた女性活動家のグループ※のことを指します。
(※エメリン・パンクハーストと娘のクリスタル率いる女性社会政治同盟(WSPU ))  
1860年代より始まったイギリスの参政権運動から生まれ、サフラジェットは参政権獲得のために過激な方法で戦いました。
サフラジェットの命がけの闘争と情熱的な抗議、戦争協力などによって、
1918年に、女性(※諸条件付きの30歳以上)の投票権を認める法律が可決されました。
その後1928年に、男女(21歳以上)等しい選挙権が認められました。