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2026/01/27 18:57


タンクリングとは?― 20世紀を象徴する構築的なジュエリー ―

タンクリング(Tank Ring)とは、20世紀前半に登場した、直線的で構造を感じさせるデザインが特徴のリングです。
幅が広く、ほどよい量感を持つフォルムは、当時の美意識やデザインの流れを色濃く反映しています。

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タンクリングの名前の由来(諸説あり)

タンクリングという名前の由来については、いくつかの説があります。

① 第一次世界大戦の戦車に由来する説(1910〜1920年代)
初期のタンクリングには、長方形や正方形を基調とした直線的なデザインが多く見られます。
その外観が、戦車(タンク)のしっかりとしたフォルムを連想させたことから、この呼び名が使われるようになったと考えられています。

なお、1917年に誕生し、1919年に発表されたカルティエのタンクウォッチも、戦車を上から見たような構造的なデザインを持つ時計として知られ、現在まで愛され続けています。

② 第二次世界大戦の戦車に由来する説(1930〜40年代)
特に1940年代に多く見られる、量感のあるモデルについては、当時実際に街中を行き交っていた戦車の構造や履帯を思わせることから「タンク」と呼ばれるようになった、という説もあります。


いずれにしても、軍事や工業を思わせる構造美がタンクリングのデザインの根底にある点は共通しています


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タンクリングの誕生と時代背景

タンクリングの流れは、1920年代頃のアールデコ期に見られる幾何学的なデザインに始まり、
1935年頃から1950年頃にかけて多く制作されたと考えられています。

アールデコは、
・近代性
・合理性
・装飾よりも構造を重視する考え方

を特徴とした芸術運動で、建築や工業デザインの影響も強く受けていました。


タンクリングは、その幾何学的な流れを土台としながら、当時の社会状況を背景に、より存在感のある意匠へと展開していきます。


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戦時下と素材について

第二次世界大戦中、宝飾業界は大きな制約を受けました。プラチナなどの金属は軍需用として扱われ、宝石や貴金属の流通も大きく制限されていきます。

そのため、この時代のジュエリーにはイエローゴールドを主体とした作品が多く見られます。
また宝石についても、ダイヤモンドやサファイア、ルビーに加え、当時の事情から合成石が使われた作品も多く残されています。

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タンクリングのデザインの特徴
タンクリングは、一目でそれと分かる存在感を持っています!

幅が広く、厚みのあるフォルム

直線を生かした幾何学的・建築的なデザイン

段差や重なりを意識した立体的な構造


機械的な構造を思わせる意匠や、左右非対称のデザイン
こうした力強い造形のタンクリングが当時人気のデザインとなっていきました。

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戦後のタンクリング(1940〜50年代)

戦後になると、タンクリングは勇気・忍耐・再生といった意味合いで語られることもあります。
この時期には、ダイヤモンド・サファイア・ルビーを組み合わせた配色や、洗練されたフォルムのタンクリングも登場します。
この時代宝飾全体の流れとして軽やかなデザイン・モチーフのジュエリーも増えていきますが、タンクリングは引き続き量感あるリングとして存在感を保ち続けました。
次第に結び目やリボン、階段状のモチーフ(カリブレカットと呼ばれる連なった石留方法)などを取り入れた、どこかエレガントさを感じさせる作品も多く作られていきます。

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現代におけるタンクリングの魅力

タンクリングはアンティーク市場・ヴィンテージジュエリー市場において、特に人気の高いジャンルのひとつです。他にはない造形美や、時代背景を感じさせるストーリー性、金や宝石による資産性の高さも含め、「時代を身につけるジュエリー」として、多くの人を惹きつけています。

【なぜタンクリングは現存数が少ないのか】
当時のタンクリングは、現在では比較的数が少ないジュエリーとして知られています。その理由のひとつに、リング自体が大ぶりで、地金を多く使用している点が挙げられます。
当時、こうしたボリュームのあるリングは、制作にまとまった量の金を必要としたため、もともとの製作数(絶対数)が多くなかったと考えられています。
また、地金量の多いジュエリーは、時代の変化や金相場の影響を受けやすく、後年になって溶かされ、別のジュエリーに作り替えられてしまった例も少なくありません。
そのため、現在まで当時の姿のまま残っているタンクリングは限られており、現存数が少ない理由のひとつとされています。

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タンクリングの着け方

タンクリングは存在感があるため、単体で着けるのが基本です。

・中指でバランスよく
・人差し指や親指で個性を出す
・小ぶりなものは小指で、シグネットリング感覚に

重さのあるリングが多いため、長時間の着用や重ね付けは、無理のないスタイルがおすすめです。

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まとめ

タンクリングは、アールデコから戦時下、そして戦後へと続く20世紀前半の宝飾の流れを映し出す、特徴的なジュエリーです。
その力強い造形と背景にある物語は、今も色あせることなく、多くの人を魅了し続けています。



Daisy Ring 河原宝飾